富士山とモニュメント

平和を学ぶ講座2015 第3回

「日本国憲法の誕生と変遷」

2015.9.13(「平和講座」part5ニュース2015 No.3より)

牧野さんが「憲法の誕生と変遷、現在の問題」を解説

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 9月13日の「平和講座」第3回は、戦争展実行委員の牧野晃一さんが「憲法の誕生と変遷」と題して講演。「平和憲法は、アジア太平洋戦争で多くの犠牲者をだし、二度と戦争を起こしてはならないという考えから生まれた」と語り、その誕生の経緯から今日までの変遷、現在の憲法問題について解説しました。

【概要】

 牧野さんはまず、ポツダム宣言受諾後、GHQによる憲法改正作業の経緯を示し「政府案(松本案)は最も明治憲法に近くポツダム宣言に矛盾するもの。GHQは各政党、民間の改正案の中から憲法研究会の案に着目、この案に加筆し、政府に提案。政府は更に加筆して政府案として帝国議会に提出し、衆議院と貴族院の審議を経て、加筆修正し成立。日本の国会が最終決定した」と説明し「憲法の押しつけ論が今また出ているが、この経過からもわかるように議会が最終決定しており、明らかに押しつけではない」と指摘しました。

 さらに、帝国議会における「政府案」の主要な修正点をあげ、「前文の修正で『主権が国民に存すること』と明記したのは大きい」としたほか、「第1条には『国のあり方は国民が決めるもの』とあるが、案外知られていない。もっとアピールすべきだ」と述べました。

 続いて現在、多くの憲法学者らが「違憲」としている集団的自衛権について、衆院憲法審査会での4人の憲法学者の発言や、審議中の特別委員会での閣僚らの発言を対比させ、「安保法制の全体像をどこまで把握できているのか疑問。なぜ重要な法案を10本もまとめるのか、アンフェアなやり方だ」とし、周辺事態法を例にとり「重要影響事態法としているが、時限立法の特措法で対処してきた日本に、自衛隊をアフガン、イラクさらにアフリカへ行ける様に、しかも時限立法でなく、いつでも、どこでも使えるものを作れと米側に言われ、国民が知らない間に約束してきたことが国会で明らかになったが、これは大変な問題。国民の前に明らかにして、国民に判断させてもらいたいが、それをさせない。こんな状況に言葉を失う」と語気を強めました。

 後半は、第二次大戦後の国際政治の流れを示し、東西冷戦時代、湾岸戦争以降の世界の流れを概観し、「70年間平和主義の日本は信頼度が強まったが、日本の政治は国際政治に振り回されてきた。特にアメリカとの関係が問題」とし、「アメリカは米軍再編で日本に協力を求めてくる。この戦略に自衛隊が組み込まれる。日本は゛いや゛と言わない。しかし、要求に答えるには安保条約を変えなければならず、最後の手段として、安保法制の大転換となった。国民の審判を受けないでやろうとしている」と警鐘を鳴らしました。

アンケートの感想・ご意見(2015.9.13)

  • 憲法の誕生から自衛隊の海外派兵まで流れが分かりやすかった。安倍首相の発言の変遷が良くわかった(何を考えているのか)。この調子で行くと、戦争に巻き込まれてしまう。何が何でも廃案にしなければ…。どうしたらよいのでしょうか?(60代・女)
  • 戦後の歴史を知るほど安倍内閣の勝手な集団的自衛権容認から始まる安保法制は許されない。法的安定性、立憲主義を守るのは、内閣の大切な任務です。(70代・男)
  • 安倍内閣が戦争法案を通す必要性として、中国や北朝鮮の脅威を煽り、「環境の変化」を上げているが、「環境の変化」の最も大きな要因はアメリカの世界戦略の変化によるもの。アメリカ議会での戦費削減、国内の厭戦気分、自殺者多発、PTSD患者急増による自国の事情を、日本に肩代わりさせることにある。(60代・男)
  • 言葉が難しいです。何となくわかっても、具体例をといわれると説明できないことがある。今審議中の安保法案等、学べば学ぶほど疑問だらけです。人間が作っている世の中、皆の望む世の中になっていかないことがおかしいと思えます。一部の権力者が牛耳っているように思えますが、国民民衆の力こそが大きく大切なことを、一人ひとりが自覚し、意思表示していくことだと思いました。ありがとうございました。(60代・女)
  • PKOとは何の略?(60代・女) ※PKO Peace-keeping Operations 平和維持活動
  • 勉強になった。(60代・男)
  • アメリカの要望に答えて憲法改正する経緯が良くわかりました。世論も支持していない、憲法学者もほとんど憲法違反にあたると回答している安保法制新法には反対です。(60代・女)
  • 自衛隊と憲法、アメリカとのかかわりを整理して考える上で有益な話でした。現在の安保法案の位置づけも良く理解できた。(70代・男)
  • 順を追って良くわかりました。13歳、中学2年のとき、新憲法が施行され、「戦争放棄」が盛り込まれ、これで将来とも安心と思いました。戦争という言葉に本当に敏感でした。1950年朝鮮戦争が起ったとき、ラジオのニュースで戦争という言葉を聴いたとき、ドキッとした覚えがあります。孫子の代に戦争に加担させるようなことは絶対したくありません。(80代・女)
  • ニューヨーク9・11事件はブッシュ大統領、米軍が仕掛けたテロでは。この時の録画を見ると明らかにビル解体であることが分かる。また、この時に飛行機の乗客・乗員名簿が一切でない。ペンタゴンに突入したものも無人機らしく思う。この事件は造られたものである。アフガン・イラク戦争からイスラム国と続く戦争になっている。この戦争に加担することは大変恐ろしいことです。(70代・男)
  • 冷戦後の例、中国「赤い資本主義」、ベトナムの市場経済策と、特にイスラム世界とアメリカの戦争に加わったことをもう少し話してほしかった。(80代・男)
  • 歴史的順序が前後しており、もう少し順を追って説明してもらうと分かりやすかった。現在の政治に対する意見は皆でディスカッションしたかった。集団的自衛権は捉え方によっては、今後必要なのかと思います。(内容は、まだまだ改正する条件…で)(50代・女)
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