9月19日の「平和講座」第4回は、戦争展実行委員の山崎ひろみさんが「沖縄の米軍基地と人権」と題して講演。沖縄戦から70年を経ても基地の島である実態と米軍駐留で住民が被る人権侵害、その元になる日米地位協定、また、米軍基地が本土から沖縄に押し付けられた実態や現在辺野古で起きている新基地建設について、住民らの反対行動の映像による現地報告も行いました。
講座ではまず、沖縄戦について解説。沖縄戦での住民の犠牲者数の多さなどから「日本軍はかなりの犠牲者が出ることを想定しながら、避難計画も十分にはなく、子どもから老人まで根こそぎ動員した。一般の住民を陣地壕掘りなどに使い、軍と共に行動させた結果住民の犠牲者を多数出した」とし、「沖縄では『軍隊は住民を守らない』が沖縄戦の教訓とされており、現在も人々がそう語っている」と述べました。 続いて、沖縄戦の後の米軍に占領された7年間の沖縄の状態、サンフランシスコ講話条約締結後日本から分離され、アメリカの施政権下での20年間の沖縄の状況、そして復帰後も基地の島43年間の実態について「軍に占領された状態がどんな悲惨なものだったか、日本の独立後、日本国憲法ができても沖縄はその憲法の下には入れなかった。これらの苦しみを本土の私たちはほとんど知らない。他人事でしかない」と指摘しました。
そして、現在の沖縄の問題として辺野古の新基地建設に反対する現地の映像を示し、人々の闘う姿を報告。「民主主義の正統な手段の選挙で反対派の知事、市長、国会議員を選んで民意を示したが、政府は沖縄の民意をまったく無視し続けている」と批判しました。
このあと、「私たちが刷り込まれた沖縄のイメージ」として、沖縄の海兵隊は抑止力とはならないと元政府関係者らが明言していることを例にとり、「沖縄に基地が集中している米軍の7割は海外遠征軍の海兵隊。沖縄に常駐して沖縄を守っているわけではなく、米軍の戦略でいるだけ。それも本土から移転したものでもともと沖縄にあったのではない。本土が引き受けないので沖縄に押し付けられているのが実態」とし、「沖縄に基地があるのは地理的に最適だから」を強く否定しました。
このほか、「沖縄は基地で潤っている」「普天間基地は元は何もなかった。後から住民らが補償金目当てに集まってきた」などの間違った風説を県の資料で否定した後、「基地が押し付けられ、事件事故にさらされ続ける沖縄の根本に、不平等な日米地位協定がある」として、協定の中身や実際の事例を引きながら、米軍の特権の不平等性について説明、「これは沖縄だけの問題ではなく、静岡でオスプレイが落ちた場合には私たちの問題となる」と警鐘を鳴らしました。